Abbey Road / The Beatles ー いい映画を一本観終えた後の聴後感、円熟した彼らの最終傑作
と、タイトルからベタ褒めで始まります。
前々回の White Album 前回の Let It Be をはるかに超えてくる良さを感じました。
悪く言うと、White Album はバラバラだし、Let It Be は単調…
その流れをひっくり返すかのようにストーリー性のあるアルバムにまとまっています。
1. Come Together
かっこいいよな。色々調べてもあらためてかっこいい。このHMとも違う妖しく重たい感じ。あんまり語りたくなくなるかっこよさ。
歌詞も意味わかんないしオルガンもギターもドラムもベースもかっこいい。
冒頭のジョンのシュッは shoot me と言っているなんて皮肉な説もあるそうで…
2. Something
これ調べるまでジョージの曲だってわからなかったよ。ポールが歌ってるのかと思った。関係各所でジョージ会心の出来!と絶賛されていますね。
ジョージのギタープレイがこの曲の柱になってるくらい良い。
歌詞はいかにもインド+女って感じでジョージなんですが。インドと女が醸成されて良い曲と詩ができたって感じです。
3. Maxwell's Silver Hammer
これはいかにもなポール曲。When I'm sixty-four っぽい。んだけど
Maxwell と言うキチガイ医学生がポップにハンマー殺人を繰り返す物語となっています。リンゴのハンマー音がかわいい。
これも調べるまで、またポールはのどかな曲を作るなあと思ってましたが、トムとジェリーやハッピーツリーフレンズを彷彿とさせますね。
4. Oh! Darling
サビのシャウト風に歌うのがムーディでかっこいい。黒人のヒューマンドラマ系の映画で使いたい。ポールは黒人がやりそうな歌い方も本当に上手だな。
5. Octopus's Garden
リンゴのボーカルが本当に好き。リンゴの曲も本当に好き。
この曲、バンド内で喧嘩してリンゴが出てっちゃった時に作った曲なんですよ。タコが海の底のタコ庭に逃げる歌。かわいいですよね。
6. I Want You ( She's So Heavy )
ここで7分47秒にもわたるジョンのヨーコへのラブソング。後期では毎回恒例ですね。この曲調でラブソングってジョンがヘビーすぎるわ。
この曲はポールのベースがよく耳に入ってくる印象です。かっこいい。
Hey Jude のような曲構成ですが、この曲の場合ひたすら重たく暗くなって行きます。しんどいです。
7. Here Comes the Sun
突然の夜明け。この曲もポールかなと思ってたらジョージでした。好きな曲。
それにしても1曲目からここまでの曲の流れが完璧なんですよね。とてもドラマチックで
一応6曲目の I Want You までが A面で、Here Comes the Sun から B面として物語が再び始まるような感覚です。自分的には6、7は通しで聴いて8から仕切り直したい
ということでここで ビートルズメンバーが嫁とイチャつくだけという Something の MVを。
ここからの曲は1曲1曲がどうというより、ラストまでの流れを一息に感じていただきたいです。逆に曲単体での印象があまりない。
8. Because
夜明けから突然暗雲が立ちこめる流れ。3人のコーラスとハープシコードのハーモニーが不思議な気持ちにさせてくれます。
歌詞もとても良い。
9. You Never Give Me Your Money
ピアノから始まるバラード、そこからロック調な展開に変わり、また別のロックンロールへ、最後は Sun King へのつなぎとなるコオロギの SE 入りの不思議な BGM
という一般的な曲というよりメドレーという感じの曲。
歌詞はポールがアップル社への不満を綴った内容らしいですが、あまり歌詞を感じない曲の内容と構成です。
10. Sun King
コオロギの SE とイタリア語やスペイン語がごちゃ混ぜになった歌詞が特徴的。
脳の周波数が確実に低下してる、ふわふわしてイキそうになる曲です。
Here Comes the Sun と Sun King が同じアルバムにあるのが面白いですよね。
11. Mean Mr. Mustard
Sun King から続けてポップな感じのジョンのロック曲。
Sun King と特に関係はないみたいですが、下賎なマスタードおじさんということで落差が面白いです。
12. Polythene Pam
続けて、アップテンポなロック曲。ジョンがポリエチレン( Polythene )の袋をかぶった女のことを題材にして作った曲らしい。
13. She Came In Through the Bathroom Window
いつの間にかこちらの曲へ。通しで聴いてると別の曲かわからなくなる。
この曲はポールが風呂場から空き巣に入ったきた女性のことを題材に作ったらしい。
14. Golden Slumbers
ここで調べるまで Golden Slumbers ってなんのことだか知らなかったんですが、Slumbe って眠りって意味なんですね。
ポールお得意のピアノバラード。この流れでやられるといつも以上に感動が大きいです。
歌詞は16世紀くらいに書かれた歌集から。
15. Carry That Weight
これも Golden Slumbers からいつの間にか始まってるパターン。
Boy , carry that weight a long time って4人でコーラスするところがあるんですが
ぼくは Boy なのでグッとくる。彼らが Boys だった頃から背負ってきた重荷を感じます。そしてその重荷から解放されて…
16. The End
タイトルまんま。彼らの終わりの曲。
リンゴ初めてのドラムソロ、そしてオーケストラにみんなのコーラスで盛大にラストを飾ります。
17. Her Majesty
あたかもエンドロール的な、ポールお得意の弾き語り。切なさが募ります。
が、ポールはここからめちゃくちゃソロ活動するんだよな。
と、ラストは駆け足でしたが、このアルバムの後半は1曲1曲が繰り返しがない上に、1曲内で構成が変わったり、時間も短く曲間が空かないので
ラストまで一気に惹きこまれます。
解説するのが無粋に思えるような内容で、黙って通しで聴いてみろ、と。
自分の場合ファーストアルバムから1枚ずつレビューしてきたので感動もひとしおですが、リアルタイムで追いかけてた人たちにとってはたまらなかったでしょうね。
…もう日本のメロコアとか聴きたい。